みなさん
こんにちは。
ドットエデュは死にました。
(路線変更です)
当時は
ドットエデュという知的キャラと幼児の心キャラの北山を演じようとしましたが
昔、本名に因んで生徒につけてもらった
マエコウで行きたいと思います。
さて
今回は無知からの脱却シリーズ
ただの書評だろっていうコメントは受け付けます。
タイトル:『浮気人類進化論 きびしい社会といいかげんな社会』
作者:竹内久美子
出版社:晶文社
出版年:1997年7月10日21刷
(アマゾンで同上出版社のものが見つからなかったので下記アクセスは文藝春秋のもの)
タイトルを見て
浮気を正当化する書籍だ!!と考え人はこの書評を読んでも意味が無いかもしれない。
それぐらい、衝撃なタイトルであることは確かだ。
分野としては動物行動学にあたる。
問題なのはあの浮気という行為だ。命を賭けて一緒になったはずの二人。そのどちらかがトラブルの種をまく。そしてそれを必死に隠し、取り繕おうとする。これほどおかしな動物がいるだろうか。
この疑問からスタートした本書は
動物行動学の観点から
人間とは何か?
なぜ、人間は人間になったのか?
について考察している。
本書総括
本書は、人間の行動や人間が持つ特徴を他の社会性のある動物と比較検討している。
その中で人間が人間たらしめる特徴は何か?それがなぜ生まれたのかを述べている。
1章では主に人間の特性について
2章では昆虫の婚姻制度についてをまとめてあげている。
3章ではゴリラやチンパンジーなど類人猿を中心に社会制度について。特に女性中心社会化男性中心社会か?だ。
4章:ここでは少し視座を上げた動物社会が描かれている。
男性が読むと浮気に対する目からウロコの言い訳?がたくさん書かれているかもしれない。
女性が読むと、本当に不快感たっぷりかもしれない。
断っておくと、これはあくまでも動物行動学からの観点であり進化的必然であること。
それを受け止めてこういった解釈もあると落とし込めるか落とし込めないかは読者に任せる。
実際にこの本の著者は女性であるのだ!!
エピソード
P29に
浮気をするから人間になったと書かれている。
これにはびっくりした。一体全体、浮気をするから人間になったとはどういうことか?
そのページを開いてみた。
筆者によると
狩猟や戦争によって脳が発達して、その過程の中で言語が必要になったという意見に反論がなされている。
なぜならば、我々が使う言葉は闘いに勝つため必要なモノにしてはあまりにも複雑過ぎではないか?という疑問があるからだ。
また、争いに参加したのはほぼ男性にも関わらず、男性女性どちらも言葉を喋れるのはどういうことか?にも引っかかりがあったようだ。
では、人間が巧みに操る言語はどう発達してきたのか?
筆者の答えはこうだ。
動物行動学からすると、動物の至上命題とは子孫を残す、自らの遺伝子を後世につなげることである。
人間界では、一夫一妻制を取ることがほとんどであるため
妻の貞節を信じて、夫は今狩りに出かけるのだ。
逆に妻は夫が浮気をせずに狩りに精を出すことを信じている。
この時夫はどういう行動を取るだろ?
狩りに余裕があれば、他の女性とSEXをするのではないだろうか?
なぜならは、自らの遺伝子を残すには多くの女性と関係を持つことが効率的であるからである。
その際に、男は妻以外の女性とSEXをするため、うまい具合に相手を口説く必要がある。
どのように口説くのか?
喋りかけることしかない。
男性側の言語能力はこのようにして進化してきたのだ。
そして
妻にとっては悲しいことに
何事もなかったかのように夫は家に戻ってくるのである。
これでは、女性側があまりも可哀想なので女性側つまり妻は
どういう行動を取るのか?
を考えてみたい。
妻たちは近所の人たちと立ち話をし始めたのである。お互いはライバルではなく、情報提供者として機能するのだ。
「誰がいつ、どこで、何をしていたか」「いつもと違う方向へ歩いて行った」「あの人は最近オシャレになった」などという一見たわいのない会話にこそが浮気発見のきっかけとなる
このように立ち話をするためには言語を操る必要があり、女性側の言語能力はこうして発達してきた。
また、浮気を発見するのに観察眼も発達してきたと考えられる。夫が浮気をしているかどうかを調べるために、そして浮気をしてきた男が危険な男(遺伝子レベル的に優劣を感じ取る)かどうかを判断するための観察眼だ。
私は、浮気によって言語が発達したという彼女の論は非常に興味深いと考える。特に後者の観察眼にはとても納得した。
他の男性諸君も経験があるではないだろうか?
「髪の毛を数cm切ったのに気付いてくれないなんて・・・」
「今日はメイクを少し変えたのに・・・」
「言わなくても分かってよ!!」と言われたこと。
そして
「〇〇ちゃん痩せた!?!」
「〇〇ちゃん前髪短くなった!?!」と相手の変化に即座に気づく女性たちの会話を聞いたことが。
筆者について
筆者の竹内久美子さんは1956年生まれで京都大学理学部卒業。同大学の院博士課程を修了。当然のことながら、専攻は動物行動学だ。
橘玲氏の
『読まなくてもいい本の読書案内』によると

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1980年代から90年代にかけて、進化生物学や進化心理学を広めたのが竹内組子の一連の著作で、週刊誌の連載も人気を博していたようだ。
しかし、こうした著作は過激であったのか現在では進化論の悪用として批判をあびているらしい。
想定読者
純粋に動物行動学や進化生物学を勉強したい人には入門書として勧めることができる。
非常に読みやすいからだ。
生物と聞くとどうしても遺伝子の構造が・・・・のように小難しいイメージが先行していて残念である。
いまホットなテーマが生物であるのであるから。