こんにちは。
マエコウです。
ここ数日
読書スピードがとても速くなってきたのを感じています。
コツを掴んできたようです。
決して目線を早く動かしてやる速読のようなものはやっておりません。フォトリーディングとかをできる人はすごいと思います。
僕は
先日読んだ本に書いてあることを
その通りにやったら感覚がつかめてきました。
こちらです。
遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣
- 作者: 印南敦史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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速読法自体が
気になる方はこちらがオススメのようです。
ちなみに
速読は不可能であると科学が最近実証したそうです。
諸説あるので、信じたいほうをやればいいと思います。
さて、本題に移ります。
書籍紹介
今回読んだ本はこちら
ちょうど1ヶ月前に出版された本でまだ未開拓な分野を扱っている。
ビッグデータと言えば、マーケティング戦略に扱われることが多い。
TwitterやFacebookなどで投稿された情報が毎日データとして溜まっていく。
企業がマーケティング戦略を考えていく上でこれほど重要な情報リソースはないだろう。
企業の商品を使用したユーザーがTwitterやFacebookに生の声を乗っけているからだ。これを吸い上げないわけにはいかないだろう。
ただ、本書で扱っているビッグデータはこういった利用法とは違っている。
文化をビックデータで分析しようとしているのだ。
ビッグデータという眼鏡を通して、歴史・文学・言語を覗くと一体どんな世界が見てくるのか?を
本書は教えてくれる。
本書総括
設定論点/仮説
1.カルチャロミクスとは何か?
2.カルチャロミクスで何が分析できるのか?
3.カルチャロミクスでどんな未来が描けるのか?
自分で設定した論点・仮説を下に本書読み進めたところ
以下のポイントが明らかになった。
1.カルチャロミクスとは?
カルチャロミクスとは文化研究の新しい手法である。
もしくは歴史上の変化を定量的に示すことを目指した研究手法を指す。
新種の観測装置(=グーグル・Nグラム・ビューワー)と言語、文化、歴史の新たな研究手法をさす。
本書のテーマは、われわれの研究グループが歴史上の変化を定量的に示すことを目指して挑んだ7年間の取り組みである。(中略)本書のテーマは「ロボット」が語る歴史であり、デジタルというナノレンズを通して見た時ときに、過去がどんなふうに映るかを語ったものである。
2.カルチャロミクスで何が分析できるのか?
本書で扱われている分野は大きく3つである。
- 言語
- 歴史
- 文化
特に言語分野が興味深く、中でも英語の不規則動詞に関する記述は面白かった。
不規則動詞について
読者のみなに思い出してほしいことがある。
私立であれば中学1年生の頃それ以外であれば中学2年生の頃だ。
英語の授業で過去形を習うと必ず暗記させられた不規則動詞をカルチャロミクスで分析すると何がわかってくるか?
実は動詞の中で
不規則動詞であったものが時を経て規則動詞になってしまう動詞が存在する。
不規則動詞ではなくなってしまったものがある一方で、不規則動詞のまま現在に至っているものがあるのはなぜだろう? thriveには繁栄するという意味があるのに、過去形のthroveが廃れてしまったのはどうしてなのか?drive offには走り去るという意味があるのに、driveの過去形droveがそのまま残っている理由はどこになるのだろうか?
この問題を考えるうえで
1つ重要となる法則が存在する。
それは
ジップの法則
と呼ばれるものだ。
ジップの法則とは何か?
それは
頻度がN番目の単語は、頻度が1番目の単語の1/Nの確率で現れる現象をさす。
使用回数が三三二六回で八位に位置するhisの出題頻度は、使用回数が三三◯回で八十位に位置するeyesの十倍である。
これはジップが『ユリシーズ』中で
単語の出題頻度を数えたことから法則化されたものである。
『ユリシーズ』だけにあてはまるものではなく、新聞記事の中や中国語・ラテン語で書かれた本の単語にもあてはまるのだ。
しかし、
ここである問題が生じた。
ジップの法則に従うのなら、不規則動詞の大半はめったに使用されないと考えていいだろう。ところが実際には、ほぼすべての不規則動詞がきわめて頻繁に使用されている。不規則動詞は動詞全体の三パーセントを占めるにすぎないが、使用頻度の上位十位まではに入る動詞は、すべて不規則動詞なのである。
大量の動詞がある中で不規則動詞がこんなにも頻繁に使われるのがおかしいといことだ。
ではこのジップの法則の例外である不規則動詞の秘密をカルチャロミクス・ビッグデータで分析すると
・なぜ不規則動詞が使用頻度の上位を占めているのか?
・いつ不規則動詞が規則動詞に変わるのか?
が分かってしまうのだ。
このビッグデータから1つの傾向法則が導かれた。
不規則動詞の半減期は使用頻度の平方根に比例する。つまり、ある不規則動詞の一〇〇分の一の使用頻度しかない不規則動詞は、規則化されるまでに要する時間が前者の一〇分の一になるということだ。
ちなみに、speakやdrinkの半減期は五四◯◯年なので
僕たちレベルがみるような不規則動詞が規則化されるのはずいぶん先である。
頻度の低い不規則動詞はどんどん規則化されてしまう。
3.カルチャロミクスでどんな未来が描けるのか?
このように言語をビッグデータで分析することで僕たちの生活や文化すらデータ化・数値化できるのである。
不規則動詞はその1例である。
僕が思うに流行語の分析に応用すれば
僕たちの文化をコントロールできるのではないかと考えている。
毎年メディアで報道されている流行語大賞はその年最も流行った言葉=文化の象徴である。
その流行語が
・どういう経緯で生まれたのか?
・いつ世に出回り始めたのか?
・世相と関係があるのか?
をカルチャロミクスで解析できるだろう。
そうすることで
どんな言葉が次に流行しそうかを素早く察知できていくかもしれない。
それに合わせて電通なり博報堂なりが僕たちに認知しやすいようなモノに
デザインしたり、うまい仕掛けを作ってくれそうだ。
まだ流行らしたくない言葉があればそれを抑えこむ方法だって生まれていくだろう。
著者について
著者は面白い経歴の持ち主たちだ。
エレツ・ハイデンは
2009年にMITテクノロジー・レビュー誌が選ぶ最もイノベーティブな35歳以下の35人に選ばれている。
また2012年には若手経営者にとって最も栄誉のある
PECASE賞を受賞している。Googleの客員研究者をつとめたこともある。
一方で
ジャン=バティースト・ミシェルは
本書刊行までの10年間エレツ・ハイデンと共にビックデータを使って人間文化を研究してきた。
この研究はネイチャー誌やサイエンス誌の特集記事に取り上げられていた。
彼自身は科学者で起業家でもあり、データ科学会社のクオンティファイド・ラボの創設者でもある。
想定読者
ビックデータの運用を仕事でやっている方は一読してみると新しい使い方が会社に提案できるかもしれない。
また、文系の人で歴史・文学・言語を違った視点で捉え直したい方にもオススメだ。
セットで読みたい本
不規則動詞に合わせて読むならこの本がオススメ