司令官の読書記録:犬嫌いだったら人ではない?『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』の書評を書いてみた。

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こんにちは。マエコウです。

 

本日紹介するの書籍はこちら。

 

ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた

ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた

 

 

 

タイトルを見て、まず思ったことは「え?ネアンデルタール人って現生人類の進化前じゃなかったの?」ってこと。


なぜ、そのような考えが浮かんだのか?というと

 

高校の世界史教科書に猿から人間に進化する絵が挿入されている。

http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-a0-6c/crinum_asiaticum_jp/folder/482324/19/9023219/img_0?1304492049

 

 

 

それがあたかも一直線に進化してきたように見えてしまっていた。
ポケモンデジモンのように。

 

 

 


ネアンデルタール人はヒトと競争関係にいた。

 

そして

その弱肉強食の世界で、ネアンデルタール人に、私たちヒトが勝った結果、現代文明がある。

 

その勝利の過程には様々な仮説があるけれども、

その1つにイヌの家畜化があると著者は述べている。

それを補完するように最新の論文を引用していて、本としての情報量は膨大だ。


本書総括

論点(論点とは本書を通じて著者が世に発信したいメインテーマを指す)

ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させたのか?

  

サブ論点(サブ論点とは論点の答えを導く上で考えるべき要素を指す)

・ヒトはあらゆる生物の中で最も激しく侵入し、最も環境を変容させている存在であり
何千もの生物絶滅の一因を担い、直接原因ともなっている存在で、考え得るほぼすべての生息地を改変した侵入生物ではないか?
 
・侵入生物とは何か?

-生物の侵入と生息域拡大は何が違うのか?

-イエローストーンの狼の侵入は何を意味しているのか?

  /1番の競争者を選択して殺すのではないか?
  /在来捕食者は生息密度だけでなく地理的生息範囲も全体的に減少するのではないだろうか?

 

・従来の年代測定数値は正しいのか?

-不正確ではないか?

 

ネアンデルタール人は気候変動によって絶滅したのではないか?

-その説を否定することはできないのではないか?
-ネアンデルタール人の絶滅要因は気候変動だけなのだろうか?

 

・ヒトとネアンデルタール人との間に競争はあったのか?

-競争的排除に関するガウゼの法則とは?
-食べ物に関する競争はあったのか?
-ヒトとネアンデルタール人の食べ物メニューはどんなものか?
-ネアンデルタール人は食事内容に自由度がなかったのではないか?

 

ネアンデルタール人は現生人類の侵入で滅びたのか?

-気候変動と侵入の相乗効果で凌ぎきれない状況にぶち当たったのではないか?

 

ネアンデルタール人と現生人類の間で食糧量に違いはあったのか?

-ネアンデルタール人のほうが現生人類より必要エネルギー量は多かったのではないか?

 

・競争を回避する戦略はあるのか?

-食糧に多様性も持つのはどうか?

-生活時間を変えるのはどうか?

 

・なぜ、イヌとオオカミイヌを家畜化したのか?

-他の生物ではダメだったのか?

-イヌとオオカミイヌはヒトと同様に社会性を持った生き物ではないか?
-ネアンデルタール人の食糧供給にダメージを与えるためではないか?

 

ネアンデルタール人は家畜化能力はなかったのか?

 

エピソード1

著者はヒトがイヌを家畜化して生き残ることに成功し、ネアンデルタール人の絶滅に関与したと一貫して述べている。

 

その中でも気になったエピソードとして取り上げるのが種の競争回避戦略の部分である。


本書で述べられていたその戦略で2点ほど印象に残ったものがある。

1.各種が活動時間帯を変更する。
2.それぞれの種が違った食糧を食べて生き残る。

 

アフリカ地域からレヴァント(東部地中海沿岸部)へ移動した時にヒトはネアンデルタール人に接触したと言われている。


ヒトはネアンデルタール人からすると侵入生物に他ならない。その地域では、生き残りを賭けてネアンデルタール人とヒトが争った。


歴史的にはそれが正しいのだけれども、その衝突を回避することはできたのではないだろうか?という考えだ。

先ほど上げた2つの戦略を取ることができたらネアンデルタール人が生存してた可能性もなくはない。


なぜかというと
第一に活動時間帯を変更することができれば、そもそも衝突が生まれないのである。

ネパールのチトワン国立公園とその周辺では、人間とトラの生息密度が驚異的に高い。しかし、人間が薪を集めたりして活動するときの騒音や騒がしさのせいで、チトワンのトラは日中はほとんど行動せず、マレーシアやインドネシアの似たような地域で調査されたトラとくらべても日中の行動が圧倒的に少ない。こうした時間帯のシフトによりチトワンのトラはうまく人間と共存している


第二に食べるものが違えば食糧供給に損害がでないからだ。

もうひとつ石器を利用したヒト族の特殊技能が、骨を砕いて栄養価が高く脂肪分の多い骨髄を採取することだ。この骨を砕くことについて現世人類と大いに競争できたのは、ホラアナハイエナだけだっただろう。

 

著者紹介


パットシップマンはペンシルバニア州立大学名誉教授。古人類学の専門家。
ほかにも著書が数冊。

 

アニマル・コネクション 人間を進化させたもの

アニマル・コネクション 人間を進化させたもの

 

 

 

人類進化の空白を探る (朝日選書)

人類進化の空白を探る (朝日選書)

 
ネアンデルタール人

ネアンデルタール人

 

 


オクスフォード大学のトーマス=ハイアムのチームが2014年にネイチャーにある報告をした。


それはネアンデルタール人の絶滅と現生人類のヨーロッパへの拡散と制覇の新たな年代的見直しをすること。


この年代的見直しから彼の説は構築されている。
本書を読めばパットシップマンが最新の知見を下に自らの仮説を検証しているかがわかる。
それほど、彼は自分の仮説に自信があるのかもしれない。

想定読者

考えたのだけれども、このような本を読む人は古人類学に興味があることが前提になっている。
古人類学の入門として本書から入ることはおすすめしない。
実際に僕も本書を読むのは相当つらかった。

感想

僕はもともと文系で大学でこのような分野は勉強したことはない。
ただ、趣味で古人類学関連の書籍は数冊読んでいる。そのような前提知識があったとしても非常に読みにくい。

それはなぜかというとほとんどが最新の論文のまとめや紹介になっているからだ。


彼の主張はあくまでも仮説の域を脱しないため、こういう説もあるのか!ということに留めておきたい。
ただ、彼の仮説が最先端であることは間違いない。

あと、ヒトがイヌと力を合わせて生き残ってきたということは

犬嫌いの僕は 本質的に「ヒト」じゃない!?!

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